
愛知・名古屋アジア大会で初めて採用された新競技「テックボール」で、日本の早稲昭範・坂本唯那ペアが混合ダブルスの銀メダルを獲得しました。日本テックボール史上最高の成績で、決勝の会場には入場制限がかかるほどの観客が詰めかけました。
とはいえ、「テックボールって何?」「どんなルールなの?」と、テレビやSNSで初めて名前を知った方も多いのではないでしょうか。
この記事では、テックボールの基本ルールを初心者向けに整理したうえで、銀メダルまでの戦いぶりと日本ペアの素顔を紹介します。さらに、広告・マーケティングに17年携わってきたラボ長の視点から、この新競技が伸びる理由を考察します。
目次
TABLE OF CONTENTS
テックボールとは?サッカーと卓球を組み合わせたハンガリー発祥の新競技

テックボールは、2012年にハンガリーで考案された新しいスポーツです。中央が山なりに盛り上がった「テックテーブル」という専用台をはさみ、サッカーボールを足や頭、胸で打ち合います。イメージとしては「足でやる卓球」が近いでしょう。
名前は、湾曲した台の「テクノロジー」と、ボールを操る「テクニック」を掛け合わせたものとされています。もともとはサッカーの技術を磨くトレーニングとして開発され、現在は世界150カ国以上に広がっています。日本では2017年に日本テックボール協会が設立されました。
テックボールの基本ルールは「3タッチ以内」と「同じ部位の連続禁止」
初めて見る人でも、次のポイントを押さえれば試合を楽しめます。
使う道具と試合形式
全長約3m、幅1.5mの湾曲したテックテーブルと、サッカーの5号球を使います。種目は1対1のシングルスと2対2のダブルスがあり、日本がメダルを取った混合ダブルスは男女ペアで戦う種目です。
3タッチ以内で返す・同じ部位は連続NG
ボールは最大3回のタッチまでに相手コートへ返します。手と腕は使えず、同じ部位で2回続けて触るのも禁止です。たとえば「右足→右足」はNGですが、「右足→胸→頭」ならOK。このルールがあるため、選手は足・ひざ・胸・頭を次々に使い分けます。
体の接触はNG、試合は3セットマッチ
テーブルや相手選手に体が触れると反則です。接触プレーがないので、けがのリスクが低いのも特徴です。試合は12点先取のセットを先に2つ取った方が勝ち。最終セットだけは、2点差がつくまで続きます。
日本ペアがアジア大会・混合ダブルスで史上初の銀メダル
今大会のテックボールは、名古屋市東スポーツセンターで行われました。アジア大会への追加が決まったのは今年2月と直前で、日本で初めて開かれるテックボールの国際大会でもありました。
日本ペアは9月19日の準決勝でイラクのペアとフルセットの接戦を演じ、2-1で逆転勝ち。日本勢初のメダルを確定させました。20日の決勝では、世界最強と呼ばれるタイのペアにストレートで敗れたものの、日本テックボール史上最高となる銀メダルを手にしました。
決勝の会場は立ち見が出るほどの超満員。元スペイン代表のカルレス・プジョル氏がプレゼンターとして登場するなど、新競技とは思えない盛り上がりでした。同じアジア大会では、体操の杉原愛子選手も日本選手初の快挙を達成しています。
早稲昭範・坂本唯那とはどんな選手?
早稲昭範:日本テックボールの第一人者で協会の代表
41歳の早稲選手は、フリースタイルフットボーラーとして19歳でデビューし、足裏リフティングなどで2度のギネス世界記録を持つ技術派です。約10年前にテックボールを始め、日本テックボール協会の代表として、選手を続けながら大会の準備にも奔走してきました。
坂本唯那:元女子サッカー選手で競技歴わずか2年半
30歳の坂本選手は元女子サッカー選手で、テックボールを始めたのは約2年半前。今大会では女子シングルスでも銅メダルを獲得しました。2025年のテックボールワールドシリーズでは、早稲選手とのペアで世界3位に入っています。
サッカー日本代表もハマった?テックボールが注目される理由
今年夏のサッカー北中米ワールドカップでは、日本代表の選手たちが宿舎でテックボールに興じる動画がSNSで話題になりました。サッカー経験者なら基本の動きになじみがあり、台とボールがあればすぐに遊べる手軽さも、広がりを後押ししています。
【独自考察】テックボールは「見ればルールがわかる」から伸びる

ここからはラボ長の考察です。
SNS時代に強い「1プレーで伝わる競技」
新しいスポーツが広がるうえで最大の壁は、「ルールがわからないから見ない」ことです。その点テックボールは、台と足技さえ映れば数秒で何をしているかが伝わります。サッカー日本代表の動画が話題になったのも、短い動画との相性の良さを示しています。広告の仕事で言えば、説明なしで伝わるクリエイティブを最初から持っている状態です。
「実物を見たい」と人が動いた事実
決勝の会場に入場制限がかかるほど人が集まったのは、テレビやSNSで知った人が「実際に見たい」と行動した証拠です。認知から来場まで一気に進んだこの熱量は、新競技にとって大きな財産です。
課題は選手が競技に専念できる環境
一方で早稲選手は、選手が競技だけに打ち込める環境づくりと、後継者の育成を今後の課題に挙げています。アジア大会で生まれた注目を、体験会やスポンサー獲得につなげられるかが、4年後に向けたカギになるでしょう。
テックボールのよくある質問
Q1. テックボールは難しい?
A. 基本は「3タッチ以内で返す」「同じ部位で続けて触らない」の2つです。ルール自体はすぐに覚えられます。
Q2. テックボールはオリンピックの種目?
A. 現時点でオリンピックの実施競技には入っていません。早稲選手は、次はオリンピックに向けて働きかけていく考えを示しています。
Q3. 混合ダブルスの金メダルはどの国?
A. タイのペアが金メダルを獲得しました。
テックボール日本ペアの次の目標は4年後のアジア大会とオリンピック
アジア大会で初採用されたテックボールで、早稲・坂本ペアは混合ダブルスの銀メダルを獲得し、坂本選手は女子シングルスの銅メダルも手にしました。ルールは「3タッチ以内」「同じ部位の連続禁止」「接触なし」の3点を押さえれば十分です。4年後のアジア大会、そしてオリンピックを見据える日本テックボールの今後を、モヤラボでも追いかけていきます。