
石橋静河さん主演のNHK連続テレビ小説「ブラッサム」が9月28日に始まり、2022年発売の写真集「月刊 石橋静河」が品切れになったと報じられています。定価2,860円(税込)の本に、個人出品で23,554円の値が付く事態です。
初回の世帯視聴率は15.5%で前作を上回りましたが、数字だけで「大人気」と言えるのでしょうか。ちなみにラボ長は初回を見ていません。だからこそ「朝ドラはいつもこんなに盛り上がるのか」が気になり、数字を調べました。
この記事では、過去の朝ドラの初回視聴率と比べながら、写真集の品切れが何を意味するのかを、広告運用歴17年の目線で読み解きます。
※10月2日放送の第5回の内容に少し触れます(物語の核心は書きません)。作品の中身の評価はせず、数字だけを扱います。
目次
TABLE OF CONTENTS
石橋静河の写真集が品切れ・2万円超に|定価の約8倍で出品される事態
品切れになっているのは、2022年3月10日に小学館から発売された「月刊 石橋静河」です。撮影は友人でもあるモーガン茉愛羅さんで、伊豆を旅する姿を収めた初の写真集です。定価は2,860円(税込)です。
内外タイムスの報道によると、Amazonでは購入できない状態になり、タレント写真集の売れ筋ランキングは10位まで上昇しました(報道の執筆時点)。個人の出品には23,554円の価格が付き、定価の約8倍です。他のサイトも取り寄せ扱いで、入手しづらい状況だそうです。
ただし、出品価格は出品者の希望額で、その金額で実際に売れたとは限りません。在庫やランキングも日々変わるため、あくまで報道時点の状況です。確認できた範囲では、小学館の書籍ページは「在庫なし」、Amazonは「一時的に在庫切れ」、ブックオフオンラインの新品も「在庫なし」と表示されていました。再入荷や増刷の発表は、今のところ見当たりません。
「ブラッサム」初回視聴率15.5%は前作「風、薫る」を0.6pt上回った
9月28日放送の第1回は、関東地区の平均世帯視聴率が15.5%、個人視聴率が8.6%でした(ビデオリサーチ調べ)。前作「風、薫る」の初回(世帯14.9%、個人8.3%)を、世帯で0.6pt、個人で0.3pt上回っています。
なお「風、薫る」は、最終回が世帯14.5%、初回から最終回までの全話平均が世帯13.8%でした。「ブラッサム」は、前作より少し高い位置からのスタートです。SNSでも、良作になりそうだという期待の声が出ていると報じられています。
過去5作の初回視聴率と比べると、人気爆発ではなく「平年並み」
近年の朝ドラ初回(関東地区・世帯)を表で整理します。
OPENING RATINGS
近年の朝ドラ 初回世帯視聴率
関東地区・世帯/ビデオリサーチ調べ
「ブラッサム」を除く過去4作の単純平均は約15.8%(ラボ長が計算)で、「ブラッサム」はそれより0.3pt低い水準です。前作は上回りましたが、近年の朝ドラとしてはほぼ同水準といえます。つまり、視聴率だけを見れば、突出した数字ではなく、いつもの朝ドラ並みの好スタートです。
なお、ここでの視聴率は、放送時にテレビを見ていた世帯の割合です。見逃し配信などで後から見る人は含まれません。
【ラボ長考察】広告のプロが読む「視聴率に出ない人気」の正体
ここからは、広告運用17年のラボ長が数字を読みます。
ラボ長の最初の感想は「すごい、久々に人気が出ているのか? それともいつもこうなのか?」でした。調べてみると、初回15.5%は朝ドラとしては標準的な水準です。標準的な数字の裏で、4年前の本だけが突然動いている。この“ズレ”が、今回いちばん面白いところだと思います。
広告の世界には、「見られた数(インプレッション)」と「動いた数(コンバージョン)」という考え方があります。視聴率は前者で、テレビの前にいた世帯の割合です。一方、写真集の品切れは後者で、「もっと知りたい」と探し、財布を開いた人がいたという結果です。

実は、石橋さんが成長した珠として本格登場したのは、10月2日放送の第5回です。それまでの第1〜4回は、子役の村上蘭さんが珠を演じていました。写真集の品切れが報じられたのは、その本格登場の前後です。
つまり、主演本人が画面に出る前から、「主演の石橋静河とは誰なのか」を調べて動いた人がいた可能性があります(ラボ長の推測です)。朝ドラは毎朝15分、半年続く番組です。放送前から話題になった主演は、登場した瞬間に関心がさらに高まりやすいと考えられます。広告でいえば、認知が先に立ち上がり、購買がそれを追いかける流れです。
LABO CHIEF'S NOTE
ラボ長のひとこと
視聴率は“見た人”、品切れは“動いた人”。広告屋が信じるのは後者です。
「ブラッサム」とは?宇野千代がモデルの物語と主なキャスト
「ブラッサム」は、明治・大正・昭和を生きた作家・宇野千代(1897〜1996年)をモデルにしたオリジナル作品です。主人公は葉野珠(はの・たま)で、石橋静河さんが演じます。脚本は櫻井剛さんと小松與志子さんで、NHK総合で月〜土曜の午前8時から放送されています。
第1週のタイトルは「私の父、私の母」です。珠の幼少期を演じる村上蘭さんは、制作側が426人の中から選び、石橋さんに通じる眼差しと笑顔が決め手だったと報じられました。ほかに加賀まりこさん、松たか子さん、国仲涼子さん、渡部篤郎さんなどが出演します。
10月2日の第5回で、珠は村上さんから石橋さんへバトンタッチしました。桜と錦帯橋を背景にした場面は、初回と同じ台詞・同じ構図で、SNSでは「粋なバトンタッチ」といった声が出ています。石橋さんが朝ドラに出るのは、「半分、青。」(2018年)以来8年ぶり2回目です。
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結論:「ブラッサム」は視聴率より先に“財布”が動いている
結論です。初回視聴率15.5%は、過去の朝ドラと比べると平年並みで、突出した数字ではありません。ただ、写真集の品切れが示すとおり、注目度は視聴率に表れない形でも動いています。
ラボ長は、「ブラッサム」はこれから注目が広がりやすい作品だと見ます。見る人が増えるより先に、買う人が動いているからです。第1週の平均視聴率や、写真集の再入荷・増刷がどうなるかは、まだ発表されていないので、動きがあれば追記します。
視聴率は“見た人”の数、品切れは“動いた人”の数。この差を読むと、朝ドラの見え方が少し変わります。