
映画『mentor』が、10月16日(金)に公開されます。映画.comが行った10月公開作の期待度アンケートでは、106作品の中で1位でした。
ただ、この1位は、何の1位なのでしょうか。映画館へ行く人が多いという意味なのか、期待する声がXで多かっただけなのか。広告運用歴17年の目で見ると、この2つは別の指標です。
初週に観に行くべきか、口コミを待つべきか、迷っていませんか?基本情報、期待が集まった2つの理由、判断の基準の順にまとめます。
目次
TABLE OF CONTENTS
基本情報:10月16日公開、出演・上映時間・配給
あらすじ(ネタバレなし):少年だった龍之介と拓海の花火遊びが、アパート火災を引き起こします。住人の埜本は妻子を失い、自身も全身に火傷を負いました。15年後、龍之介(磯村勇斗さん)はアーチェリーのオリンピック日本代表候補として前に進もうとし、拓海(末澤誠也さん)は罪の記憶から抜け出せずにいます。そこへ「メンター」となる埜本(綾野剛さん)が現れますが、2人に恨みの言葉を向けず、優しく接します。
上映館と時間は、お近くの映画館のサイトで確認できます。詳しい情報は、映画『mentor』公式サイトにあります。
期待度1位は、Xアンケート106作品の中の1位
映画.comのアンケートは、公式Xで、10月に劇場公開される106作品を対象に、「もっとも期待する作品」を聞いたものです。『mentor』は、この投票で1位でした。
押さえたいのは、これが劇場の動員数や売上ではなく、Xでの投票結果だという点です。しかも、映画.comのランキング記事には、順位と作品紹介は載っていますが、得票数は載っていません。この記事からは、1位と2位の差が分からず、1位の重みは数字では測れません。
『mentor』と同じ10月16日公開の、西川美和監督の映画『わたしの知らない子どもたち』は7位でした。詳しくは、『わたしの知らない子どもたち』の紹介記事をご覧ください。
では、これだけの票を集めた理由は何でしょうか。次の2つの仕掛けから読みます。
仕掛け①:役を伏せて明かす、公開週まで続く解禁の順番
公式の動きを日付順に並べると、情報を小分けにして出していたことが分かります。
2025年11月4日
制作と2026年秋の公開を発表しました。メンター役が誰なのかは伏せたままでした。
2026年4月22日
公開日の10月16日と、綾野剛さんの出演を発表しました。ティザービジュアル(最初の宣伝ビジュアル)と予告映像も公開しました。
7月27日
本予告、場面写真、キャストのコメントを公開しました。
10月上旬
龍之介編、拓海編を含むキャラクターPV3本を公開しました。
10月12日
綾野剛さんが映る15秒の動画を、公式Xに投稿しました。
広告の設計として見ると、これは、期待を少しずつ積み上げる順番です。最初に「メンター役は誰か」という問いだけを置き、4月に綾野剛さんの出演で答え合わせをしました。このとき、特殊メイクに挑んだこと、準備に毎回約3時間かかったことも伝えました。その後は、公開週まで短い動画を出し続けています。約11か月の間、「次は何が出るか」という関心が途切れにくい作りになっています。
仕掛け②:俳優・アイドル・監督、3つのファン層が重なる出演者の組み合わせ
もう1つの仕掛けは、出演者と監督の組み合わせです。映画への入口が、3種類あります。
広告の見方では、探す言葉が入口ごとに違います。たとえば、俳優のファンは「磯村勇斗 新作」、アイドルのファンは「末澤誠也 映画初主演」、映画ファンは「吉田恵輔 新作」と検索するでしょう。入口が3つに分かれる分、話題の母数は広がり、それが票になったとも読めます。
広告の目線で読むと、期待度は「ヒットの予告」ではない
ここからは、ラボ長の考えです。
得票数が載っていない以上、期待度1位を「ヒットの予告」として読むのは危ういと考えます。そこで、過去の期待度1位が、公開初週にどうなったかを調べました。
同じ週末の新作1位:『トイ・ストーリー5』
同じ週末の新作1位:『ミニオンズ&モンスターズ』
同じ週末の新作1位:『白鳥とコウモリ』(この作品)
出典:映画.com 国内映画ランキング(興行通信社)。順位は公開初週末の動員順位で、新作1位は同じ週末の新作の1位です。
直近3か月の期待度1位のうち、公開初週末のトップ3に入ったのは、9月の『白鳥とコウモリ』(2位)の1本だけでした。残りは、トップ10圏外が1本(7月)、8位が1本(8月)です。3本とも人気タレントや若手俳優の主演や出演が注目された作品で、ファン層の厚い作品は票が集まりやすい可能性があります。ただし『白鳥とコウモリ』は、東野圭吾さんのベストセラー小説が原作でもありました。調べたのは直近3か月分だけなので、法則とまでは言えません。
広告の世界では、「クリックされた数」と「買われた数」は別の指標です。私も、広告運用でクリックは多いのに成果が伸びなかった経験があります。クリックは「気になった」という反応で、成果は「実際に動いた」という反応だからです。映画も同じで、アンケートで「期待する」と答えるのは「気になった」、劇場へ足を運ぶのは「実際に動いた」にあたります。
LABO CHIEF'S NOTE
ラボ長のひとこと
広告として見るなら、
『mentor』の宣伝は、期待を作る点でよくできています。
役を伏せ、明かし、動画を出し続けて、106作品の中で1位の期待を作りました。
ただ、広告が作れるのは期待までで、
映画が面白いかどうかは、公開後にしか分かりません。
迷っている人は、
吉田恵輔監督の『ミッシング』や『空白』が好きだったかで決めてください。
あの2本が好きなら、初週に行く理由になります。
結論:続きが気になった人は初週に観るべき、それ以外は口コミを待つべき
判断の基準は、公式の15秒動画や予告を見て、続きが気になったかどうかです。
初週に観に行くべき人
口コミを待つべき人
期待度1位は、スタート地点の順位です。ここから先は、10月16日以降の観客の声が決めます。